ことばがけの大切さとことばへのアプローチ
ことばに関する悩みがあれば,どんなことでもお尋ねください.家庭内のこと.学校でのこと.ことばの発達と就職のこと.どんなことでも聞いてください.それが次回のSST講座のテーマです.
障がいのある子どもとコミュニケーションをするとき,今までは身体の緊張や表情の大切さについてお話してきました.しかし,コミュニケーションにおいて最も大切な要素の一つはもちろん.ことばです.
 ことばは,個人の力だけでできるものではありません.ことばは,どのように言葉をかけられているかによって,発達の度合いが異なりますし,ことばけが子どもの感情に大きな影響を及ぼすのは当然のことです.こうしたことから,療育の分野でも,ことばがけの大切さ,ことばへのアプローチが注目されてきました.例えば「否定語はよくない」と言われていることは有名です.「発達障害フォーラム」のHPから言葉について引用します.

「ことばのない子も
①機嫌の良いときに出す声
②何かしてほしいときに出す声
③拒否の声
 があります。

子どもと接する人々は、まずそれをことばとして認めてあげる。そして同時に「やって」とか「して」とか、大人の側から代わりに言ってあげる。ことばのない子が声を出したら、可能な限りそれに適切に応じてあげる。何のことかわからないときは、その発声をそのまま真似てあげる。そうすることにより、少なくとも声を出せば他人が自分に注目してくれるということを子どもに理解させます。これが音声によるコミュニケーションの基礎となります」。
(「発達障害フォーラム http://www.mdd-forum.net/training01.htmlより引用」

 しかし,コミュニケ-ションが大切とわかっていても,生活の中ではなかなか理屈どおりにはいかないものです.つい厳しい言葉を使ってしまうこともあるでしょう.そこで10月のSST講座では,講座を二つにわけます.
 前半の1時間は,中村良一先生による「インリアルアプローチ」についてご講義いただきます.インリアルアプローチは知的障がいのある子どもの言葉の発達を保護者や支援者が促すための方法論です(上記のHPにインリアルアプローチの説明も掲載されています).今回は,知的障がいの療育,教育の大ベテランの中村先生から,生活の実態,保護者の事情にあわせた子どもたち一人ひとりの「ことばの問題」をやさしい言葉でお話いただこうと思っています.言葉に限らず学校生活のことなど,どんなことでも,どうぞ,お尋ねください
後半の1時間は,私とアシスタントが,「ことばがけ」についてワークショップを行います.「どんなことばがけを」「どんなふうにかえたら」「(今よりも)上手にコミュニケーションがとれるのか」について,実践していきましょう.相変わらずの私ですが,「ことばがけ」の大切さは理解しているつもりです.楽しくためになるワークショップにしていきたいと思います.どうぞ,ご参加ください!!

※中村良一先生略歴
中村先生は、東京都立城北特別支援学校、高島特別支援学校、墨田特別支援学校、 小岩特別支援学校でご勤務され、昨年までは葛飾特別支援学校で副校長の職に就かれていました.特別支援学校でご勤務される傍ら「自閉症児の教育実践~TEACCHをめぐって~」 や「自閉症児の理解と授業づくりー重い知的障害の子どもたちー」の分担執筆もされています(中村先生は酒井先生のご紹介により,今回「くまさん」に初登壇されます).
※インリアルアプローチの実際
A セルフ・トーク(おとなが、子どものしていることを述べる)
B パラレル・トーク(子どものしていることを、おとなが代わりに述べる)
  この二つについては、幅広くいろいろな子どもに使えます。

C 子どものことばを聞き、もう一度繰り返す
 これは、少し話し始めた子どもに、もっとたくさんしゃべるよう励ますときに行います。「ワンワン」と言ったら、「あっ、ワンワンね」と、子どもの発見を、一緒に喜ぶとともに、ことばを認めてあげます。子どもの発音や表現がおかしいとき、たとえば、「こわいない」といったときは、「こわくない」と、さりげなく正しい表現で、全体の調子としては『そうだね』『そうだよ』という感じで繰り返します。

D エクスパンション(内容を広げる)
 簡単な話しはできるのですが、ことば数や言い方が限られているという子に対しては、子どもの言ったことばに何かつけくわえたり、詳しく述べてやったりします。

E モデリング(子どもにことばの用い方を示す)
 話が少しできるようになった子どもに、普通の自然の会話のように受け答えするものです。ここで大切なのは、常に子どもの理解度に合わせ、子どもの話しに従っていくということです。
(「発達障害フォーラムHPhttp://www.mdd-forum.net/training01.htmlより引用しました」